マリノスとシティの提携で何が起きるのか!?


 

ブラジルワールドカップに出場する日本代表メンバーが発表され、徐々にサッカー熱が高まっている日々ですが、

昨日発表されたこのニュースが大きな反響を呼びました。

「マンチェスターシティFCと横浜F・マリノスがパートナーシップ契約」

(正確にはマンチェスターシティFCのホールディング会社であるシティ・フットボール・グループ(以下CFG)と横浜F・マリノスの資本提携を伴うパートナーシップ契約)

 

今シーズンのプレミアリーグ王者で、世界一平均年俸が高いスポーツチームとしても有名なマンチェスターシティFCが、

Jリーグ屈指のビッグクラブであるマリノスと、手を取り合うというのです。

 

提携の詳細条件は明らかになっていませんが提携のポイントは、

・CFGが日産自動車から横浜マリノス株式会社の株式を取得(一部報道では19.95%のシェア率とも)

・マリノスは、CFGのトレーニング方式、メディカルケア、スポーツサイエンス、チームマネジメント、コーチングのノウハウを利用することが可能に

・提携は、日産自動車及びマリノスとCFG3者間による

といった点でした。

 

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三者間による提携ということで、まずはそれぞれから発表されたプレスリリースを見比べてみましょう。

 

■「シティ・フットボール・グループとパートナーシップ締結に関するお知らせ」(マリノス)

http://www.f-marinos.com/news/detail/2014-05-20/161500/161549

 

「(前略)

それらの結果、実質的な売上高は過去最高を達成し、収益も劇的に改善することが出来ました。

しかし、私たちがJリーグはもちろん、アジア、さらには世界のサッカークラブの中で成績、経営の両面で優れた実績を出し続けるためには克服すべき課題も多く、従来の延長線上の改革だけでは限界があると言わざるを得ません。

今回のシティ・フットボール・グループとの資本提携は、この限界を越えて行く強力なエンジンになると確信しています。シティ・フットボール・グループの持っている優れたチーム作りや、経営基盤の強化に関する優れたノウハウを可能な限り吸収し、成長を加速して行きたいと考えています。」

 

 

■「日産自動車と横浜F・マリノス、シティ・フットボール・グループとパートナーシップを締結。横浜F・マリノスの成長に向けた新たなビジョンを公表」(日産自動車)

http://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2014/_STORY/140520-01-j.html

 

「(前略)

日産は、グローバルブランドとして、新しい発想でワクワクをお客様に提供するというブランドエッセンスを掲げており、これはシティ・フットボール・グループと共有するものです。両者は、この共通の目的を掲げ、今後数か月の間に、グローバルな協力のさらなる機会を探っていきます。

 

 

■「City seal investment and partnership with Yokohama F Marinos」(Manchester City FC)※日産からのリリースとほぼ同文

http://www.mcfc.co.uk/News/Club-news/2014/May/City-announce-deal-with-J-League-side

 

「(前略)

“We’re thrilled to be able to play a role in investing and building on the on-going success of YF Marinos,” said Ferran Soriano, CEO, City Football Group. “We are proud to offer a collaborative and integrated approach to the football, marketing, media and commercial development of all the clubs in the City family.

(後略)」

 

 

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今回のパートナーシップは、Jリーグのクラブに対して国外から有用な投資が行われる初めての例でありますが、三者それぞれの狙いはどのような所にあるのでしょうか。

 

●マリノス側の視点

 

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・プレミアリーグ王者であるシティのオンザピッチに直結するノウハウを享受出来る(トレーニング方式、メディカルケア、スポーツサイエンス、チームマネジメント、コーチングのノウハウ)

・年間売上約43億円(2013シーズン 公式サイトより)のマリノスと比べ、約10倍にあたる年間売上約410億円(2012-13シーズン/1ユーロ=130円換算 Football Money Leagueより)を誇るシティのオフザピッチ部分でのノウハウを享受出来る

・債務超過に陥っているクラブにとっての新たな資金調達先となる可能性がある

 

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(※Deloitte Football Money League 2014  参照)

 

 

●マンチェスターシティ側の視点

 

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・株式の80%を保有しているオーストラリア、Aリーグの「Melbourne Heart」、2015年より新規参入するアメリカ、MLSの「New York City FC」 に続いて新たな投資先が増える(※参考記事「サッカー界の最注目スタートアップ?New York City FC 動き出す」)

・アメリカ、オセアニア地区に続き、東アジアの拠点も手にする事で、CFGの世界展開が加速される

・UEFAから発表されたファイナンシャルフェアプレー(FFP)違反により「大幅な支出制限」が課された状況下において、現状の選択肢以外の収益を継続的に産み出すことの出来る可能性が広がる

 

特にシティはここ数年でかなり世界戦略に力を入れており、

10以上のローカライズされたTwitterアカウントを開設したり(Chinese, French, Indonesian, Japanese, Korean, Malay, Portuguese, Russian, Spanish and Thai.)、

複数言語に対応したクラブのWEBサイトは全世界のインターネットユーザーの80%にリーチ出来るほど整備されていることからも、

リアルとウェブ双方でシティの世界展開は今後更に加速していくことが予想されます。

(※このようなグローバルなデジタル展開には今季最後まで優勝を争ったリバプールも力を入れています。参考記事:「リバプールのデジタル戦略」

 

●日産自動車の視点

 

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・CFGのグローバルネットワークを活用してのグローバルな日産ブランドの拡大(※日産自動車は2014-15シーズンから3年契約で欧州CLの公式パートナーとなることが先頃発表された)

・横浜Fマリノス株保有率の低下

 

 

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それぞれ分かり易く狙いが見えてくる点もあれば、 そうでない点も多々有ります。

しかし、Jリーグ史上初のこの試みは、

良くも悪くも“どんぐりの背比べ”状態だった各クラブが、

それぞれの哲学に基づいて少しずつ違った戦略を取り始めるキッカケとなるかもしれません。

 

昨日Jリーグから発表された各クラブの経営情報を見ると、

全48クラブのうち11クラブが債務超過に陥っており、

名古屋、神戸、栃木、群馬の4クラブが3期連続となる赤字を計上しているといいます。

 

来年より「クラブライセンス制度」が始まり、より一層経営がシビアになることが予想されますが、

このような状況だからこそ、

既存のビジネスモデルを良い意味で破壊し、イノベーションが起こるチャンスでもあると感じます。

 

セレッソ大阪の戦略といい、今回のマリノスの提携といい、

各クラブが今後10年先を見越して取っているアクションプランから、自ずと10年先の日本サッカー界の勢力図が見えてくる気もしています。

 

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山内 一樹

山内 一樹

Sports UX Designer
⁂スポーツ×ミレニアルズ ⁂ Jリーグを中心にBリーグや侍ジャパンのミレニアルズマーケティング(特にSNS戦略・デジタル戦略)のお手伝いが主なお仕事。 ご相談などはお気軽に各SNSからどうぞ!