マンチェスターユナイテッドから学ぶスポーツチームのデジタル戦略に大切な5つのこと


 

ピッチ上での成果がなかなか表れず、もがいている印象を受けるマンチェスターユナイテッド。

それでも、世界中で一番ファンが多いといわれるクラブはしたたかに、そのファン基盤を拡大する動きを見せています。

 

今回はそんなマンチェスターユナイテッドのマーケティング活動の中から「デジタルマーケティング」にフォーカスし、

スポーツチームのデジタル戦略に大切な5つのポイントを整理しました。

 

 

12083004_2007136783

 

 

1.ローカライズ

 

マンチェスターユナイテッドでは、世界中にライターのネットワークを持っており、

18もの言語で1ヶ月間に約3,000もの記事が各ソーシャルメディアに投稿されています。

 

マンチェスターユナイテッドのFacebookページを見ていて気付いた方もいるかもしれませんが、

“日本語版Facebookページ”でなく”世界共通のオフィシャルFacebookページ”として運用しているにも関わらず、

たまにこのような日本語の投稿を見かけます。

 

fb1

 

これは決して世界中で日本のファンが特別だから日本語で投稿されているわけではなく、

日本語を主言語としてFacebookを利用しているユーザー限定で出された投稿なのです。

Facebookページでは、各投稿毎にターゲットを絞って投稿することができ(一部のページのみの機能のようです)、

ユーザーにとってのノイズとならずページを運用していくことが可能です。

 

試しにFacebookの個人設定ページから使用言語を変えてみると、

同じマンチェスターユナイテッドのオフィシャルFacebookページを覗いても、

上記のような日本語の投稿は表示されませんでした。

(試してみようとする方は慎重に。知識のない言語に変更してしまうと戻すのが大変です。。笑)

 

日本のクラブでもアジア圏のファン拡大を狙う際には真似出来る部分があるかもしれませんね。

 

 

2.理解のし易さ

 

投稿するコンテンツは、なるべくシンプルであることが望ましいです。

現在多くのユーザーはモバイル端末からアクセスする時代となり、

モバイルファーストが当たり前となりました。

モバイル端末はどうしても画面サイズが限られることから、

ファーストビューでどれだけの情報を与えられるかがカギとなってきます。

 

IMG_7699

 

例えば上記の投稿は、 “超がつくほど”シンプルなのですが、

投稿の文章が長いとFacebookでは「続きを読む」をタップせねばならず、

もう一度ネットワーク接続を介さねばなりません。

なるべく少ない遷移でシンプルに情報にたどり着けることは大切なのです。

 

 

3.ファン同士のプラットフォームとして

 

同じチームを応援するファン同士が交流をするのはどこでしょうか?

スタジアム?パブ?様々な場所でファン同士が語らいをしていると思いますが、

クラブのデジタルメディアがその役割を担うことも可能です。

 

d1

 

例えば、上記のようなディマリア選手に関する投稿をクラブ側がすると、

そのコメント欄ではこのような現象が起こります。

 

d2

 

ファンがコメント(写真)を投稿し、

そのファンのコメントに対して「いいね」や「コメント返し」があったり。

 

ファンとファンが交流するプラットフォームとして戦略的に機能させることにより、

ファンを通じたファンの拡大がし易くなるでしょう。

 

 

4.信頼性

 

たとえゴシップやチームに不利なシチュエーションであったときも正直に向き合うことは大切です。

いまのユナイテッドは決してイケイケの状態ではないのですが、

そんなときにもオフィシャルサイトでは現在の状況を認めつつも選手の素のコメントを紹介しています。

 

a

 

FROM:キャリックはチームの改善を確信(http://www.manutd.jp/ja-JP/NewsAndFeatures/FootballNews/2014/Nov/Carrick-convinced-United-will-improve.aspx?utm_source=facebook&utm_medium=post&utm_campaign=ManUtd

 

 

チーム状態が良い時は様々な企画ができたり、

デジタルメディアの更新も元気よく出来るのは当たり前でしょうが、

決して良い時ばかりではなく、悪い時こそ、その時間や想いを共有し共に乗り越えていこうとする姿勢が重要なのでしょう。

 

 

5.計測

 

これはビジネスをする上で不可欠な要素ですが、いわゆるPDCAサイクルを回すように、施策に対して計測をしなければその効果を見極め、次なる施策に繋げていくことが出来ません。

 

IMG_7699

 

先ほどのマタ選手に関するこちらのシンプルな投稿。

URLを見ると、「http://bit.ly/10LT8uh」と表示されます。

このURLをクリックしリンク先に飛んだページは「http://www.manutd.jp/ja-JP/NewsAndFeatures/Features/2014/Nov/Mata-An-explosion-of-joy.aspx?utm_source=facebook&utm_medium=post&utm_campaign=ManUtd」のURLが表示されるのですが、

Facebookページ上で表示された「bit.ly」のURLはリンクを短縮化出来るツールであり、

そのクリック数や日時などを測定することが出来ます。

 

クリック数を測定することにより、

人気の投稿はどういう投稿か、

日時はいつ投稿した方が良いのか、

その地域で人気の選手は誰なのか、

などマーケティングを推進する上で必要な様々なデータが入手出来るのです。

 

 

************

 

このような戦略の成果もあってか、

マンチェスターユナイテッドのデジタルメディアでは、

世界中の1億2千万人にリーチすることができ、

Facebookページでは6,000万人からの「いいね」が集まっています。

Facebookではそのうちの3,500万人と毎月エンゲージされており、

かなりアクティブにユーザーとデジタルメディアを通じたコミュニケーションを取れていることが分かります。

 

今や人々の多くの可処分時間を奪うデジタルメディアは、

マーケティング戦略立案時のコア戦略となりつつあるというのが、

世界的ビッグクラブの認識のようです。

 

この潮流は決して流行り廃りのものではなく、

世界は確実にその方角へ向かっている中で、

この流れを敏感に察知し進化していくことが、

ピッチ上の進化と同じか、それ以上にクラブには求められているのでしょう。

 


The following two tabs change content below.
山内 一樹
「ミレニアル世代の遊びの選択肢にスポーツを加える」ことを目指し、アクティビティとしてのスポーツの可能性を追求している。Jリーグ・Bリーグ・侍ジャパンといったコンテンツホルダーらとともに、主にSNSの活用を中心としたデジタルマーケティング施策の推進に従事するほか、渋谷区を起点に活動するサッカークラブ TOKYO CITY F.C. を立ち上げ、渋谷から新たなフットボール体験を産み出すための取り組みに挑戦中